子どもの習い事「やる気」を失ってしまった

子どもというのはそれぞれが、大人が計り知れない独特な視点、感覚を持っているものです。誰もが子どものときはそうであったはずなのですが、成長するうちに忘れてしまうのでしょう。

そのような子どもの習い事ほど難しいものはないもので、自分からその習い事を「やりたい」と言ったのに突然「もう行きたくない」と言ったり、スクールについた途端に「入りたくない」と言い出したりするものなのです。それが「そのスクールに対して」ストレスを感じているからなのか、それとも違う要因でそのようなことを言うのか、子育てに馴れていない人であればわからないものです。

保護者であっても、自分の子どもが何を考えているのか、とっさにはわからなくなってしまうこともあります。子どもとはそういうもの、と割り切ってしまうことは簡単なのですが、そこにはなにかの「理由」は必ずあるものです。その「理由」を考えることは、保護者として子どもと向き合うということになるのではないでしょうか。

「やる気」とはモチベーションのことです。その物事に対して意欲を持てるかどうかということです。特に子どもが感じる「時間の長さ」は、大人のそれとは違います。一般的に時間の長さというものはそれまで自分が生きてきた時間の長さとの「対比」だといいます。子どもにとっては「1時間」はとても長いものです。1時間など、私たちにとってはあっという間なのですが、子どもにとってはそのような長い時間集中しているのは難しいものなのです。

習い事では一度の受講の相場がだいたい1時間です。例えば週に一度受講するとしたら、大人にとってはそのような時間はあっという間に過ぎてしまうでしょう。忙しい日常を送っている私たちにとっては、1時間などはとるに足らないものなのです。ただ、子どもはそういうわけにはいきません。子どもにとっては週に一度であっても、1時間などという時間は途方もない長さに感じられるのです。

体感時間が違うのは、生きてきた時間の長さだけの問題ではありません。その「集中力」の違いも大きいのです。働きはじめると一日中仕事をすることになります。一日中、自分の責任を完遂するために奔走することになり、気を抜ける時間などはお昼だけ、などという方も多いのではないでしょうか。朝早くから夜遅くまで自分の責任をまっとうするために奔走することになり、たまの休日にしっかりと休んでおかなければとても持たない、という方も多いでしょう。子ども時代のことを考えてみると、日中は毎日学校に行っていたものの、決まった授業をこなせば夕方には家に帰ることができました。夕方から友達と遊ぶこともできました。毎日の時間の使い方が明らかに大人とは異なりました。それは当たり前のことなのかもしれませんが、「集中できる時間」に大人と子どもとでは差があった、ということなのかもしれません。習い事で疲れてしまった子どもは、少し休ませてあげるというのもひとつの方法かもしれません。